芸カ21頒布「Origin」舞台設定について

芸能人はカードが命!21、お疲れさまでした。

 

今作はマスカレードの伝説の一端を描きたくて、形にしました。

作中の初代おしゃれ怪盗スワロウテイルを取り巻く環境について、考えたことを下地に話を作ったので、その下地の部分をここで書いておきます。

 

おしゃれ怪盗スワロウテイルの企画は、デビューしたばかりの新人アイドル(しかも仮面で素顔を隠している、普通に考えればイロモノアイドル)にドラマの主役を任せようというのですから、かなり大胆で勇気の要る企画だと思います。

当然、制作・スポンサーサイドにとってリスキーな企画であったろうと思いました。

アイカツは不思議とお金の流れが見えない(見せていない)作品です。そこを埋めるのは大変ですが、同時に想像の余地がたくさんあって考えるのが面白く、なおかつ色んな人が描けそうだなと思う部分でもあります。

ドラマというのは一般的に、作る人や演者だけでは作れません。企画の舵取りをする人あるいは企画を説明してお金を集める人、お金を出す人、宣伝する人、様々な人が利権を持って関わります。

翻って、このリスキーな企画に対して、仕事として臨む“大人”はどのように行動するのか。そこを考えました。

 

当然、新人アイドルに若手(あるいは中堅)監督*1が大型のドラマを担当する企画という、かなり無理のある座組みを整える必要があるため、スポンサーサイドにかなりの譲歩をしてなんとか工面している状況が考えられました。オマケにアイカツカードが作品のキーアイテムになるので、ドレスをデザインしている各ブランドとも信頼関係を築いて協力を得ていかねばなりません。

要するに、(アイドルにとって“外せないステージ”があるのと同様)“外せない企画”なのではないかと思います。

この状況が、新人アイドル二人に対する(現在のアイカツとは真逆の)逆風になっています。すなわち、言われた通りにしなさいという強制力です。

 

既に決まっていた運命を乗り越えてアイドルとしての一歩を踏み出したヒメたちにとって、この状況はどのように映ったのか、というのが話の骨組みです。

ちなみにマスカレードを見出した加藤プロデューサーは、どこまでアイドルのプロデュースに関わっていたのか不明ですが、流石にデビュー当時くらいはマネージメントを行っていたのではないかと思います(光石織姫の父親にデビュー嘆願を三ヶ月かけて行うほどだったので、かなり入れ込んでると思います。これはアイカツ界の三顧の礼*2と言って良いと思います。そしてそれは結果として正解だったことから、プロデューサーとしてもかなりの才覚を持っていたと考えられます)。音楽プロデューサーなので、企画自体に参加していた可能性は低いですが、ただその先見性は後のマスカレードの大ヒットに貢献したと思われるので、冒頭に台詞としてのみの登場してもらいました。

話の中に出てくる番組プロデューサー(厳めしい眼鏡の人)は別人で、上の判断で、スポンサーの意向を正確に体現するプロデューサーが据えられているという設定です。

それぞれに立場があって、言い分があって、それでもより良い方向に向かっていこうと、ただ一時、共闘する時の閃き、熱さ、そういうものが名作と呼ばれるものを形作っていると良いなぁと思いながら作りました。

 

まさに私のアツいアイドル活動!*3です。

 

制作の現場では、人と人の相性みたいなものもあるとは思うんですが、膠着した体制がある中で、どうしたら新しいものに挑戦していけるか、変わっていけるかと考えた時に、想像の上を超えてくるというのはインパクトが強く、人の心を揺さぶるものがあるのではないかと思いました。

自分もまた、アイカツ!視聴中、自分の想像を超えてきたアイドルたちの輝きに魅了されていたので、きっと伝説と謳われるマスカレードもまた、そのような輝きを放っているだろうと思いました。

 

楽しんでもらえれば幸いです。

今作はメロンブックスさんに委託中です。

よろしくおねがいします。

それと一部ページからセリフが抜けてしまったので、参考までに公開しておきます。

申し訳ありませんでした。

 

*1:黒崎監督は現在では見た目通りの年齢だとしても、20年前は若手〜中堅の内に入ると思います

*2:意味は違いますが、何か新しい故事成語が生まれそうな気がします

*3:当時